『隣の席の、五十嵐くん。』に登場する乃愛ちゃん。
明るくて友達も多く、クラスの中心にいるような女の子ですが、読んでいると「この子、本当に良い子なのかな?」と引っかかる瞬間もあります。
椿に優しく声をかけ、五十嵐くんとの恋も応援してくれる一方で、他人の恋愛事情を話したり、嫌いな相手への感情を隠さなかったりと、少し危うい一面も持っています。
ただ、乃愛ちゃんの言動を細かく見ていくと、単純に「性格が良い」「性格が悪い」と分けられる人物ではありません。
むしろ、良いところも欠点もはっきり描かれているからこそ、現実にいそうで気になるキャラクターなのだと思います。
この記事では、乃愛ちゃんが良い子と言われる理由と、性格が悪いと思われてしまう理由を、椿や圭織との関係から考察していきます。
※この記事には『隣の席の、五十嵐くん。』のネタバレを含みます。
Contents
【隣の席の、五十嵐くん。】乃愛ちゃんとは?
乃愛ちゃんの本名は、小阪乃愛です。
主人公・今井椿と同じクラスにいる、明るく社交的な女子として登場します。
自分から積極的に話しかけることができ、クラス内でも目立つグループにいるため、大人しく控えめな椿とは正反対のタイプです。
こうした明るい女子キャラクターは、作品によっては主人公を見下したり、恋の邪魔をしたりする役割になりがちです。
そのため、乃愛ちゃんが登場したときに「椿を傷つける人物なのでは?」と警戒した読者もいたのではないでしょうか。
しかし実際の乃愛ちゃんは、椿を仲間外れにするどころか、自然に声をかけ、五十嵐くんとの恋まで応援しています。
第一印象と実際の行動に少し差があるところも、乃愛ちゃんの面白さです。
乃愛ちゃんと椿の関係
乃愛ちゃんと椿は、性格もクラス内での立ち位置も大きく違います。
椿は人の顔色を気にしやすく、自分の考えを口にするまでに時間がかかるタイプです。
一方の乃愛ちゃんは、思ったことをすぐ言葉にでき、相手との距離も一気に縮められます。
普通なら、この二人はなかなか仲良くなれそうにない組み合わせです。
それでも乃愛ちゃんは、椿が大人しいからといって態度を変えません。
椿が会話に入れるように話を振ったり、五十嵐くんとの関係を気にかけたりしています。
椿にとっては少し勢いが強く感じられるかもしれませんが、自分だけでは踏み出せなかった一歩を後押ししてくれる存在でもあります。
個人的には、乃愛ちゃんは椿を変えようとしているのではなく、「椿も一緒に楽しめばいいのに」と自然に思っているように見えました。
この押しつけすぎない距離感が、圭織との大きな違いです。
乃愛ちゃんは良い子と言われる理由
乃愛ちゃんには、言葉が強く少しおせっかいなところがあります。
それでも読者から「良い子」と思われているのは、椿に対する行動に悪意がないからでしょう。
椿を自分より下に見ることもなく、自然に友達として接している姿には、素直に好感が持てます。
椿を仲間外れにせず自然に接している
乃愛ちゃんの良さが最も分かりやすく表れているのは、椿に対して態度を変えないところです。
椿はクラスの中心にいるタイプではなく、自分から明るいグループへ入っていくことも得意ではありません。
それでも乃愛ちゃんは、椿を「地味な子」「自分たちとは違う子」と区別せず、普通に話しかけます。
特別に気を遣っているようにも見せず、ごく自然に接しているのが良いところです。
優しくしていることを周囲へアピールするわけでもありません。
この自然さを見ると、乃愛ちゃんは人を立場や見た目だけで判断するタイプではないのでしょう。
椿にとっても、必要以上に気を遣われるより、普通に接してくれる乃愛ちゃんの存在はありがたかったのではないでしょうか。
椿の気持ちを置き去りにしない
乃愛ちゃんは積極的なので、椿を無理やり動かしているように見えることもあります。
ただ、よく見ると椿の反応を完全に無視しているわけではありません。
椿がどう思っているのかを確認しながら、必要なところで背中を押しています。
ここが、ただのおせっかいな人物とは少し違うところです。
自分の考えを伝えても、最後に選ぶのは椿本人。
乃愛ちゃんは、椿を自分の思い通りにしようとしているのではなく、椿が自分の気持ちに正直になれるよう助けているように見えます。
言い方は少し強くても、椿の意思を尊重する姿勢があるため、読者からも受け入れられているのでしょう。
五十嵐くんとの恋を応援している
乃愛ちゃんは、椿と五十嵐くんがお互いを意識していることに早くから気づいています。
椿は自分の気持ちに自信がなく、五十嵐くんへ自分から近づくこともなかなかできません。
そんな二人の間に入り、関係が進むように働きかけるのが乃愛ちゃんです。
読んでいる側としては、「そこまで言ってしまって大丈夫?」とハラハラする場面もあります。
それでも、乃愛ちゃんの行動からは、椿の恋を面白がっているだけではなく、本気で応援している気持ちが伝わってきます。
椿をからかって楽しむだけなら、困っているときまで気にかける必要はありません。
乃愛ちゃんなりに、椿が後悔しないよう背中を押しているのでしょう。
圭織の違和感に気づいていた
乃愛ちゃんは、前園圭織に対してあまり良い感情を持っていません。
しかも、その気持ちを隠さず、椿の前でもはっきり口にしています。
この場面だけを見ると、乃愛ちゃんの方が意地悪に思えるかもしれません。
ただ、物語を読み進めると、乃愛ちゃんは圭織の表面だけではなく、その裏にある嫉妬や執着に気づいていたのではないかと思えてきます。
圭織は椿の友達として振る舞いながらも、椿が五十嵐くんや他の友達と仲良くなることを素直に喜べません。
乃愛ちゃんは、そうした不自然さを早い段階から感じ取っていたのでしょう。
「嫌い」と直接言う必要があったのかは疑問ですが、圭織の危うさを見抜いていた点では、人を見る目があったともいえます。
乃愛ちゃんは性格が悪いと言われる理由
乃愛ちゃんが椿の味方であることは間違いなさそうです。
それでも、読者によっては苦手に感じる部分もあります。
特に気になるのは、本人に悪気がないまま、他人の領域へ入りすぎてしまうところです。
善意で動いているからこそ、かえって止まりにくいのかもしれません。
他人の恋愛事情を簡単に話してしまう
乃愛ちゃんは周囲の恋愛事情に詳しく、知っている情報を椿へ話すことがあります。
本人としては、椿のために教えているだけなのかもしれません。
しかし、恋愛に関する話はとても繊細です。
本人の許可なく他人へ話せば、「口が軽い」「信用できない」と思われても仕方がありません。
私もこの部分は、乃愛ちゃんの良くないところだと感じました。
仲の良い友達同士でも、話してよい内容と、本人の胸の中に置いておくべき内容があります。
乃愛ちゃんは悪意から秘密を広めるわけではありませんが、知っていることを黙っておくのが苦手なのでしょう。
その軽さが、人によっては性格の悪さに見えてしまいます。
圭織を嫌いとはっきり言ってしまう
乃愛ちゃんは、圭織への苦手意識を隠しません。
裏表がなく正直だと評価することもできますが、言われる側や聞かされる側への配慮は不足しています。
特に椿は、圭織との関係について悩んでいる人物です。
その椿に向かって「圭織が嫌い」と伝えることは、椿の気持ちをさらに揺らす可能性があります。
乃愛ちゃんとしては、圭織を警戒してほしかったのかもしれません。
ただ、正しいことを言っていたとしても、伝え方やタイミングによっては相手を困らせてしまいます。
正直さは長所ですが、乃愛ちゃんの場合は少し言葉が直線的すぎるのでしょう。
恋愛に踏み込みすぎるところがある
乃愛ちゃんは、椿と五十嵐くんの関係を積極的に応援しています。
読者としてはありがたい存在ですが、椿本人の立場で考えると、少し疲れてしまうこともありそうです。
椿は自分の気持ちをゆっくり整理し、慎重に動きたいタイプです。
一方の乃愛ちゃんは、気づいたらすぐに行動します。
この速度の違いが、乃愛ちゃんを「おせっかい」「空気が読めない」と感じさせる原因になっています。
椿のために動いていることは分かりますが、もう少し待ってあげてもよいのではと思う場面もありました。
応援と介入の境界線は難しいものです。
乃愛ちゃんは、その境界線を越えやすい人物なのでしょう。
悪気がないからこそ厄介に見える
乃愛ちゃんの欠点は、意地悪をしようとしているわけではないことです。
相手を傷つける目的があれば、自分でも行動を振り返りやすいでしょう。
しかし乃愛ちゃんは、基本的に善意で動いています。
自分では「椿のため」「教えてあげた方がいい」と思っているため、踏み込みすぎていることに気づきにくいのです。
このタイプは、現実の人間関係でもよく見かけます。
悪い人ではないのに、距離が近すぎて疲れてしまう人です。
乃愛ちゃんに苦手意識を持つ読者は、過去に似たタイプの人と関わった経験があるのかもしれません。
乃愛ちゃんと圭織は何が違う?
乃愛ちゃんと圭織は、どちらも椿へ積極的に関わる人物です。
そのため、一見すると二人ともおせっかいで、椿の人間関係へ口を出すキャラクターに見えます。
しかし、椿に向けている感情は大きく異なります。
乃愛ちゃんは椿が前へ進むことを応援している
乃愛ちゃんは、椿が五十嵐くんと仲良くなり、自分の世界を広げることを応援しています。
椿が自分以外の友達と仲良くなっても、不機嫌になったり邪魔をしたりしません。
椿が幸せになるのであれば、自分が中心にいなくても構わないのです。
少し強引なところはあっても、椿の成長を喜べるところに乃愛ちゃんの優しさがあります。
圭織は椿が自分から離れることを恐れている
一方の圭織は、椿が自分以外の人と仲良くなることを快く思っていません。
椿が五十嵐くんと近づいたり、明るいグループへ入ったりすると、嫉妬や不満を見せます。
椿の幸せよりも、自分が安心できる関係を守りたい気持ちが強いのでしょう。
圭織にとって椿は、対等な友達というより、自分のそばに置いておきたい存在に見えます。
ここが乃愛ちゃんとの決定的な違いです。
似ているようで目的は正反対
乃愛ちゃんも圭織も、椿の気持ちへ深く入り込んでいます。
ただし、乃愛ちゃんは椿を前へ進ませようとし、圭織は自分のそばに引き止めようとしています。
行動だけを見れば、どちらも強引です。
しかし、その目的まで見ると、二人は正反対だと分かります。
乃愛ちゃんには、椿を自分の思い通りに支配しようとする気持ちは感じられません。
この違いが、多少おせっかいでも乃愛ちゃんが読者から支持される理由なのでしょう。
乃愛ちゃんは本当に椿の味方?
これまでの言動を見る限り、乃愛ちゃんは基本的に椿の味方です。
椿を仲間外れにせず、恋を応援し、圭織との関係についても心配しています。
口が軽かったり、言い方がきつかったりするため、完璧な友達とはいえません。
それでも、椿が困ることを望んでいる様子はなく、むしろ幸せになってほしいと考えています。
私は、乃愛ちゃんは「性格が悪い子」ではなく、「良い子だけれど少し無神経な子」だと思いました。
誰にでも欠点はあります。
乃愛ちゃんの場合、その欠点が分かりやすく表へ出ているだけなのかもしれません。
乃愛ちゃんが人気を集める理由
乃愛ちゃんが読者から人気を集めているのは、単純な良い子として描かれていないからだと思います。
椿に優しく、恋を応援してくれる一方で、口が軽く、おせっかいで、相手の気持ちへ踏み込みすぎることもあります。
完璧ではありません。
だからこそ、現実にいそうな女の子として印象に残ります。
少女漫画に登場する明るい女子キャラクターは、主人公の敵か、都合の良い味方になりがちです。
乃愛ちゃんは、そのどちらにも完全には当てはまりません。
良い部分も悪い部分も持ちながら、自分なりの方法で椿を応援しています。
この人間らしさこそが、乃愛ちゃんの大きな魅力ではないでしょうか。
【隣の席の、五十嵐くん。】乃愛ちゃんは良い子?まとめ
今回は、『隣の席の、五十嵐くん。』の乃愛ちゃんが良い子なのか、性格が悪いと言われる理由について考察しました。
乃愛ちゃんは、椿を見下したり仲間外れにしたりせず、五十嵐くんとの恋も応援しています。
その行動を見る限り、椿を大切に思っている良い子であることは間違いなさそうです。
一方で、他人の恋愛事情を話したり、苦手な人物への感情をそのまま口にしたりするため、無神経に見えることもあります。
ただし、乃愛ちゃんの言動からは、誰かを陥れようとする悪意は感じられません。
良いことも悪いことも思ったまま口にし、善意のまま先に動いてしまうタイプなのでしょう。
そのため、乃愛ちゃんは性格が悪いというより、明るく面倒見が良い反面、少しおせっかいで正直すぎる人物だと考えられます。
完璧ではないからこそ親しみやすく、椿の恋を一緒に応援したくなる存在です。
乃愛ちゃんの欠点も含めた人間らしさが、多くの読者を惹きつけているのではないでしょうか。
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